• 【2022年度活動報告】「子ども向けLINE相談の運営」について

    財団ロゴA子どもの気持ちを聴くチャット「子どもしゃべり場」 2022年度も継続して開設しました

    コロナ禍の2020年4月からスタートした子どもの気持ちを聴くチャット「子どもしゃべり場」。2022年度も日本財団助成金事業「子ども向けLINE相談の運営」として継続して開設することができました。この1年間の子どもしゃべり場について報告します。

    2022年度、学校では、屋外でのマスク着用や給食時の「黙食」が緩和されるなど、新型コロナウイルス感染症への対応に変化が見られました。オミクロン株の急速な感染拡大により、新型コロナに感染した児童生徒が急増。常に感染とは隣り合わせの1年だったといえます。

    毎週月曜日と金曜日の19時~21時に開設の「子どもしゃべり場」にはいろいろな気持ちを抱えたたくさんの子どもたちが来てくれました。


    1.数字で見る子どもしゃべり場2022

    実施期間:2022年4月1日~2023年3月31日 (毎週月曜日・金曜日の19時~21時に開設)
    相談件数:1100件(リピーター率 88%)

    子どもしゃべり場に来た子どもたちの数は1100件。2021年度(1180件)とほぼ同様の数値でした。
    スタートして2年が経過し、継続して相談にくる子が増えました。子どもしゃべり場を知ってもらうために、LINE友だち追加広告を年間4回、そして、開設前にTwitterから告知を配信しました。

    <新規相談者 n=127件 リピーターn=973件>

    子どもの年齢

    高校生が全体の約半数を占めました。なかでも高校3年生(18歳)多かったのが2022年度の特徴です。
    その中には子どもしゃべり場が開設した2年前から継続している子どもも多くいます。

    住んでいる地域

    「住んでいるところを教えてください(都道府県)」と問いかけて、回答のあった情報のみで集計しています。
    三分の一が関東から。そのほか全国からアクセスしてきていることがわかりました。
    (n=902)

    2.相談内容

    文部科学省の調査によると、いじめ認知件数は、2020年には大幅減少したものの、学校や部活動の再開とともに再び増加。2021年は61万5351件と過去最多となりました。SNSやオンラインゲーム上で行われる「ネットいじめ」も初めて2万件を超えたとの発表もありました。また、児童虐待の疑いがあるとして警察が2022年に児童相談所に通告した18歳未満の子どもは11万5730人(暫定値)で、前年より7・1%増え、過去最多を更新しました。

    子どもを取り巻く状況にコロナ禍の影響が報告されている中、子どもしゃべり場に来た子どもたちはどんな話をしているのでしょうか。(n=1447 複数回答)

    自分の気持ちを話しにくる

    1位「自分の心やからだについて」 2位「学校」 3位「雑談」 
    「自分の心やからだについて」には自分の気持ちだけを話に来た子も入っています。どこにもカテゴリー分けできない「その他」も多いこともわかりました。どんな気持ちも大切。気持ちにはいい、悪いはありません。うれしい、楽しいではないマイナスの気持ちも、不安や疑問も話せるバーチャルな居場所が「子どもしゃべり場」です。子どもたちがたくさんの気持ちを話しに来てくれたことがデータからも伺えます。


    今、どんな気持ち?

    「これまで誰にも話せなかった」「こんな気持ちになってはいけないと思っていた」… これまで心の中にそっとしまっていた子どもの気持ちがチャットのなかに行き交います。

    3.子どもしゃべり場の対応

    2022年度、相談記録フォームの中の相談員が対応した「エンパワメントの言葉」をテキストマイニングというツールを使って分析してみました。テキストマイニングとは、コンピュータに日常言語を分析させ、有益な情報を抽出することでネット上に公開され誰でも使うことができます。インターネット上の大量の書き込みを正確に素早く分析し、市場や顧客ニーズを効率的に把握できたりします。スライドに表示されているのが、文章中に出現する単語の頻出度について示したものです。

    スコアという方法ですが、通常はその単語の出現回数が多いほどスコアが高くなります。

    その結果、「大切な人」という言葉のスコアが一番高かったことがわかりました。

    あなたは大切な人

    「死にたい」「辛い」…しゃべり場には誰にもいえない気持ちを話す子どもがとても多い。
    私たちは「死にたいくらい」の気持ちを何回も何回もそのまま受け止めます。私たちは、何カ月もそのままを受け入れ話を聴き続けています。「あなたは大切な人」そう伝え続けているうちに少しずつ子どもたちに変化が現れました。「苦しくなる時もありますが、自分を大切していこうと思います」「このしゃべり場で一緒に解決策を考えもらったおかげで自分の意思を周りに堂々と言えるようになりました」そんな声を伝えに来てくれる子が、2022年度は見受けられました。
    「気持ちを話す」「誰かに相談する」ことによって、失いかけていた自己肯定感を取り戻すことができる…そう感じさせられた子どもからの言葉でした。

    でも、苦しくなったらまた戻ってきたらいいんだよ。
    なので、子どもしゃべり場はこれからも継続していきます。

    運営:認定NPO法人エンパワメントかながわ
    本事業は日本財団2022年度助成事業「子ども向けLINE相談の運営」によって実施しました