こどもしゃべり場

子どもしゃべり場~LINE で話そうよ。今の気持ち~

「こんばんは! 話してもいいですか?」…
毎週月曜日、金曜日の 19 時から 21 時、子どもしゃべり場の開設時間に、子どもたちからのLINEが入ります。「辛いよ」「死にたい」「もう限界」…
私たちは子どもたちの“今の気持ち”に寄り添います。
「話してくれてありがとう」「あなたは悪くないよ」「あなたは大切な人です」…
子どもが自分の気持ちを出せる大切な、そして必要なバーチャルな居場所、それが「子どもの気持ちを聴くチャット・子どもしゃべり場」です。

「子どもしゃべり場」に参加するには

  • 開設している曜日

    毎週月・金曜日

  • 時間

    19時から21時 *変更になることもあります

  • 参加できる人

    18歳までの子ども。
    1対1のトーク・秘密は守られます

  • 運営

    認定NPO法人エンパワメントかながわ

子どもしゃべり場のLINE公式アカウントと友だちになることが必要です。
追加方法はID検索やQRコードを読み込む等で簡単にできます。
ID:187kimochi

ようこそ、こどもしゃべり場へ

2020年 子どもしゃべり場の開設

2020年3月、緊急事態宣言と共に学校は休校。新型コロナウイルス感染症拡大によって、私たちの生活様式は大きく変わりました。
学校へ行きたくても行けない、友だちに会えない、テレビからは毎日「コロナは危険だ」「コロナにかかると、死んでしまう」等の報道。緊急事態宣言によって生活が困窮、感染に困惑するおとなの姿ばかりが伝えられていきました。
常にその傍らにいる子どもたちはどんな思いをしているのだろう。子どもに寄り添い、安心を守るためにできることはないか。子どもたちが自分の気持ちを話せる場を作りたい。そんな思いでスタートしたのが、「子どもしゃべり場」です。
連絡用ツールとして子どもたちの間にも広がっている無料通信アプリLINEを活用し、2020年4月に開設しました。

2021年 子どもしゃべり場継続

新型コロナウイルス感染症の変異株が拡大、終息が見えないなか、2021年度がスタート。
健康チェック、マスク、換気など、新しい生活様式での学校生活が再開しました。
コロナ禍、虐待件数の増加など、子どもたちと家族を巡る状況も変化し、2021年度も継続して開催した「子どもしゃべり場」では、さまざまな問題や悩みを抱える子どもたちと繋がるきっかけになりました。

しゃべり場に来る子どもたち

「友だち、家族、恋人、心配なこと、悩んでいることなんでも聴くよ」と呼びかけています。

もう疲れた…死にたい…

疲れました

「死にたい」「疲れた」…しゃべり場には誰にもいえない気持ちを話す子どもがとても多い。
私たちは「死にたいくらい」の気持ちを何回も何回もそのまま受け止める。
私たちは、何カ月もそのままを受け入れ話を聴き続ける。
ガンバってガンバってガンバり続けている子どもたち。

自分の気持ちや考えを整理したら親に話し、高校を辞め自分で選んだ別の高校に編入することができた。
友だちのこと、学校のこと、親のこと、直接言えなかった自分の思いを言葉にしたとき本当に自分がどうしたいかが見えてきた。
自分の選択肢は自分で決めていい。間違ったらまた考えて選びなおしてもいい。

いじめ…ひとりぼっちは嫌だ…LINEだから話せる

しう

友だちとの関係、自分の家族、自分自身のことは、会うことも声を聴くこともない、LINEだから話せる。
「話してくれてありがとう」「あなたは一人じゃない」と繰り返す。

「あなたはひとりじゃない」「あなたは悪くない」と伝えると自分の生い立ち、親のDV離婚、同居家族の問題、経済的な困窮…誰にも話せなかった自分の困っていることを話しはじめた。
まわりには信用できるおとながいない。
でも、LINEだから話せる。
どんなに小さなことでもできていることを認め自分の中に力があることに気づいてもらう。
それがエンパワメントだ。
LINEは一方通行でもなく、即答しなくても返事が返ってくる。だから子どもたちにはちょうどいいツール。
「ひとりじゃないよ」「あなたは大切な人」…文字が残ることもちょっといい。
これからも、「一緒に考えよう」

データからみる 子どもしゃべり場

相談件数

  • 2020年度

    実施期間:2020年4月27日〜2021年3月29日
    相談件数:701件(リピーター率 76%)

    子どもしゃべり場スタートから1か月後の5月25日、緊急事態宣言が解除。 学校が再開されたものの学校生活での戸惑い、「友だちができない」「学校が楽しくない」等、不安の声が寄せられてきました。 多くの子どもに直接「子どもしゃべり場」の存在を知ってもらうためにはどうしたらいいか。新聞記事での紹介だけでは届きません。 そこで7月、LINE友だち追加広告を活用しました。広告が配信されると、あっという間に友だちの数が増加。連動して相談件数が跳ね上がりました

    子どもしゃべり場 月間相談件数の推移 2020年度
  • 2021年度

    実施期間:2021年4月2日〜2022年3月28日
    相談件数:1180件(リピーター率79%)

    変異株の拡大、健康チェック、マスク、換気など、新しい生活様式での学校生活が再開。子どもしゃべり場は、2021年度も継続して開催しました。 多くの子どもたちに「子どもしゃべり場」を知ってもらうために「友だち追加広告」を行い、友だち登録が急増。相談件数が増えました。 「全員で授業が受けられて楽しい」半面、「苦手な子がいて辛い」「自分はひとりぼっち」「何を話していいかわかない」という声も寄せられました。 「親が怖い」「ご飯を作ってもらえない」「親に嫌われている?」など友だちや親との関係を話しに来る子どもたちが増えました。

    子どもしゃべり場 月間相談件数の推移 2021年度

相談にくる子どもたちの年齢

  • 2020年度

    相談に来る子どもたちの年齢 2020年度
    15歳、16歳、17歳が全体の50%を占め、中学生から高校生になる思春期の子どもたちが多く来ていました。
  • 2021年度

    相談に来る子どもたちの年齢 2021年度
    2021年度は11歳、12歳、13歳が全体の50%。小学校高学年から中学生の相談が増えました。

子どもしゃべり場が大切にしていること

子どもしゃべり場は、子どもの話を聴くことに徹し、「どんな話も否定せずに受け止めて気持ちを聴く」「アドバイスはしない」そして「エンパワメント(その人が元々持っている力を引き出すような肯定的な関わりをすること)」を大切にしています。

大切にしていること

子どもたちが発信する気持ちの言葉を抽出し分析

この対応方法により子どもたちには少しずつ変化が現れました。
自己肯定感を失いかけている子どもが自信を取り戻す力に繋がり成果は出ていると実感していましたがエビデンスがありません。
そこで2021年度は群馬大学の協力をいただき子どもしゃべり場の成果を「見える化」するための手法(コンテクスト解析)を行いました。(報告はこちら⇒https://npo-ek.org/news/24586/
子どもしゃべり場は子どもが自分の気持ちを出せる大切な、そして必要な場だと改めて確信しました。

子どもが安心して話せるバーチャルな居場所

コロナ禍で始めた「子どもしゃべり場」でしたが、コロナの影響だけではなく、今までの日常生活の中で、家庭(虐待・DV・ネグレクト)や学校(いじめ・体罰・ピアプレッシャー)で起きていた暴力、また貧困やジェンダーなど、さまざまな問題や悩みを抱える多くの子どもたちが繋がるきっかけの場になったと実感しています。

毎日ニュースで伝えられるのは、ほんの氷山の一角です。確かに貧困で今日の食事に困っている人に食料を届けることは最優先かもしません。

でも、心の渇きに苦しんでいる人に安心な場所を届けることも同じように大切なこと。心に蓋をしてしまうと、すべての感情に鈍感になります。
「誰かに助けてもらっていいよ」
「誰かに話してもいいよ」
…知らず知らずにたまった気持ちを吐き出していい。

子どもたちが何より安心して話せる居場所がこれからも必要だということがわかりました。
子どもしゃべり場は問題を見つめる場所ではなく、(問題になる前の)ガス抜きの場として、私たちは今後も子どもの話を聴いていきます。

運営:認定NPO法人 エンパワメントかながわ